ゾウの時間 ネズミの時間
著:本川達雄

中公新書。1992年の本ですが、すでに読まれた方も多いかもしれません。
私は昨年社員旅行でカンボジアに行った際に買いました。
空港の書店で目に留まり、なんとなく、このタイミングで読むのが相応しく思えたのです。

>動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、
>総じて時間の流れる速さが違ってくる。
>行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。
>ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量は、
>サイズによらず同じなのである。
(Amazon商品ページより)

では、生物の『時間』を決めるのは何か。
生物学者である本川達雄さんは
生物の『時間』と『サイズ』と『形』をカギとして
縦横無尽に思考を広げていきます。

学者さんなので、その話の説得力を保証するであろう
数式もガンガン出てきますが正直そこは私には……。

ただ、本書には知的興味をそそるエピソードが散りばめられており
それを追うだけでもじゅうぶん楽しいのです。

例えば『島の規則』

これは古生物学に関する法則だそうです。
島という隔離環境下だと、大型動物はエサが乏しいため小型化していくが
少量のエサで生きていける小型動物はむしろ大きくなっていく、というものです。

ここから、本川さんがアメリカに行ったときの話になり、

>(大陸なら、常識外れのことをやって白い目で見られても)
>よそに逃げていけばいいのだから。島ではそうはいかない。
>出る釘は、ほんのちょっと出ても、打たれてしまう。
>だから大陸ではとんでもない思想が生まれ、
>また、それらに負けない強靭な大思想が育っていく。
(中略)
>しかし、これらの大思想はゾウのようなものではないか?
>これらの思想は、人間が取り組んで幸福に感ずる思考の範囲をはるかに超えて、
>巨大なサイズになってしまっているのかもしれない。
(本文22ページより引用)

生物にサイズがあるように、思想にもサイズがある……
こういった、わが身にフィードバックして考えさせられる話がいくつも出てきます。
中盤以降も様々な生物を例にとり、そのサイズとデザイン、移動方法など
色んな側面から話を展開させていき飽きさせません。

私はカンボジアの島で、ハンモックに揺られながらこの本を読みました。
少なくとも、あの時の時間の流れはとても穏やかでしたね……。

これから2月を超えると、新生活に向けて忙しくなってくる季節です。
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