今日は旧『救癩の日』、現『ハンセン病を正しく理解する週間』だそうです。
らい病(ハンセン病)の予防と患者の救済に深い関心をよせていた
大正天皇の后・貞明皇后の誕生日であることからそう制定されたようです。

ハンセン病は感染力が極めて低い病気ですが、
当時は完全に『伝染病』という扱いで
かかった後の症状の恐ろしさもあり
国ぐるみで終身隔離政策が取られていました。

ハンセン病患者にして文学者であった北條民雄が
自身の体験を元に書いた作品『いのちの初夜』を読んだことが
ありますが、その中にこんなエピソードがあります。

療養所入所の手続きで服を持って行かれ、
お金も療養所内でのみ使える「金券」と変えられてしまった主人公が
初めて尾田の前に露呈した病院の組織の一端を摘み取ると同時に、
監獄へ行く罪人のような戦慄を覚えた。
だんだん身動きもできなくなるのではあるまいかと不安でならなくなり、
親爪をもぎ取られた蟹のようになって行く自分のみじめさを知った。
ただ地面をうろうろと這い廻ってばかりいる蟹を彼は思い浮かべて見るのであった。
(赤字は青空文庫・北条民雄『いのちの初夜』より引用。改行は当方による)

二度と出られないのですから終身刑みたいなものです。
恩赦さえありません。
内部ではハンセン病患者がハンセン病患者の面倒を見、
一生外に出られないため、新規患者以外との出会いも無く
患者同士で結婚したとしても子どもを作ることは禁止。
虐待等もあったようです。

以前NHKでハンセン病のドキュメントをやっていたのですが、
驚いたのはこのような扱いを1996年まで続けていた事実です。

そもそも、1953年に公布された「らい予防法」の中に
強制隔離や外出の禁止などが織り込まれていたわけですが、
元々感染力が弱く、40年代にはすでに特効薬が開発されていた病気に対してこの扱い。
それが1996年まで廃止されなかったというのです。

平成の世になってなお、国ぐるみで公然と
治る病気の人を監禁していたという事実が私には衝撃的でした。
この法律は96年に廃止されましたが、
まだ解決されていない国ぐるみの非人道的行為が
他にもまだあるのかもしれませんね。
人知れず耐えてる人がいるのかもしれません。

ちなみに、北条民雄『いのちの初夜』は
後半、命についてのシリアスな対話が深い感動を呼びます。
ご興味ある方は読んでみてくださいね。

北条民雄『いのちの初夜』(青空文庫)