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2018.03.21

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孤高の遠吠 地元のヤンキー越しに見えてくる階級社会と負の連鎖

孤高の遠吠

2015年。監督:小林勇貴

監督の地元である静岡県富士宮を舞台とし、
キャストの恐らくほとんど全員を富士宮地元のリアルヤンキーで固め
ゲリラ撮影や逮捕・事故の果てに完成したというスゴい映画。

富士宮に住む4人の少年たちが、ヤンキーの先輩から単車を買ったというだけ
富士宮ヤンキー社会に為す術もなく巻き込まれるという話です。

一体何の権利があるのか、当然のように少年たちを拉致暴行恐喝、
借金負わせるわ強盗させるわ無茶苦茶やる「地元のセンパイ」たち……。
逆らおうにも、地元ヤンキー階級社会では
下の人間への暴力は当たり前なので誰も助けてくれません。
(そして、みんなケンカが強いので勝てない

どうしようもない悪いキャラ達を地元のリアルヤンキーが演じるリアリティに終始圧倒されます。
みんな演技力はともかく、「顔」の力が強い人たちばかりで
それがデジタル撮影感全開の冷たい画面上に映し出されると、非常に恐ろしいわけです。

どんどん坂を転げ落ちていく4人。
一度引き込まれたが最後、みんな互いに足を引っ張りあい
大人になっても、年を取っても、地元にいる限り決して抜けられないという
富士宮地元ヤンキー階級社会の負の連鎖が浮かび上がります。
大体ですが、↓こういうカーストです。

政治団体

犯罪集団(窃盗団、強盗など)

地元のセンパイ

学校のセンパイ

単車乗ってるガキ

↑この救いようのない階級構造はいかがでしょう。
イヤなら地元を出るしかない、みたいな逃げ場のなさ。
中の人はみんな足を引っ張り合うか
必死でもがいてるかだけなので、中から変わることが無いわけです。

「まるで今の日本のようです」とか言いたくなる人もいると思います。

 

以上、悲惨な話は悲惨な話なんですが、ヤンキー達のキャラの良さや話の面白さ、
謎のリアリティに満ちていて辛気臭さが無く、「ヤバいものを観ている」感が満載
笑いもあるというか、ワル過ぎて笑ってしまう場面が多々あります。
絶対に許可を取ってない公道での暴走や危険行為も連発で最後まで飽きません。必見!


小林勇貴監督。ゆうばり映画祭受賞式のときのものですが監督も怖いですね。

VICE PLUS
私はVICE PLUSで観ました。
有料ですが、ここで観られるものは他にないものばかりです。

静岡県富士宮市
この映画の富士宮はゴッサムシティみたいでしたが、実際はそんなことないはずです。

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